書籍の保存修復とは
古い書物(古書籍)は絵画や美術工芸品とともに古美術品としての価値を持つと同時に、多くの場合に資料として利用・閲覧するものという他にはない特徴的な側面を持っています。利用するにはそれに耐えうる健全な構造を持っていなければな ...
紙の劣化/損傷要因
紙そのものがどのように劣化していくのか、あるいは損傷を受けるのかを化学的要因、生物的要因、物理的要因の3つに分けて説明します。 1.化学的要因 (1)熱 最も分かりやすいのが火災による資料の焼失で、化学的には急激な酸化( ...
理想的な保存環境
(1)温度が高くなると化学反応(劣化)が速くなるので、温度はなるべく低い方が良い 10℃上がると化学的劣化速度が2倍となり、逆に10℃下がるとその速度は半分になるといわれています。具体的には、冬季の過剰な暖房は好ましくな ...
書籍の取扱い方
修復は最終的な処置であるため、本来は修復(直接的介入)が必要になるような状態にしないことが最も優れた保存方法(予防的保存)といえます。多くの場合修復には、相当な費用がかかるものになりますが、予防的な保存処置はそれに比較す ...
保存容器について
保存容器(保存箱)に書籍や紙資料を収納し、最小単位の理想的収蔵環境をつくることで、保存管理を行いやすくすることができます。 (1)保存容器の利点 ①外気の温湿度変化を和らげる ②光の影響から資料を守る ③ホコリ・虫などの ...
革装本の保存について
19世紀以降の革装丁の書籍は、本文紙、製本素材・材料ともに質が低下しており、劣化の著しいものが数多くあります。特に19世紀半ば以降の革装本は、レッドロット(Red Rot)と呼ばれる独特な劣化状態を示しているものが多数存 ...
革装本のレッド・ロット対策
1)レッド・ロットとは 皮革は植物繊維を原料とする紙や亜麻布、綿布などに比較すると劣化しやすい物質です。 時代を経た革装丁本の多くは植物タンニンで鞣された革で装丁されており、劣化による損傷を受けています。 特に19世紀に ...